大塚で愛され続ける精肉店「肉のハヤシ」〜お肉とアートと地域愛〜

JR大塚駅南口から徒歩2分。昭和5年(1930年頃)に創業し、今は3代目が暖簾を守る精肉店「肉のハヤシ」。ただのお肉屋さんと思ったら大間違い。揚げたての惣菜は絶品、お肉のラインナップは驚くほど豊富。そして店内に並ぶ切り絵は美術展覧会で入賞するほどの完成度。

さらに店主は地域のお祭りや「薔薇ロード」づくりにも深く関わる人情派。まちへの愛情たっぷりの店主と、美味しいお肉と素敵なアートが混在するお店の魅力を、もっと多くの方に知っていただきたいとおもい、記事を書かせていただきました。

この記事を書いた人
編集部大嶺晋弥

【大嶺 晋弥】

毎日のように肉を食べる肉食系男子。生活はカツカツ。

揚げたて惣菜が止まらない!

注文を受けてから揚げる職人技

「肉のハヤシ」の大きな特徴は、揚げものを決して作り置きしないこと。注文が入ってから、店主が油にカツを落とすスタイルです。ジュワジュワ音を聞きながら待つこと5分。香ばしい匂いに食欲が爆発寸前、思わずお腹が鳴ってしまいました。

人気No.1は薄衣サクサクのヒレカツ

看板商品はヒレカツ。衣は薄くサクッと香ばしく、噛めばじゅわっと肉汁が広がります。ヒレカツ(450円)は分厚いのに上品で柔らか。牛カツ(800円)は肉感たっぷりで一口で感動。女将さんが「牛カツはサービス価格でほとんど儲けがないんです」と笑いながら話してくれました。

美味しくてボリューミー、しかも良心価格。お昼ごはんにご飯だけ別で持参し、揚げたて2種類をいただいたのですが、これがもう最高の贅沢。大塚で一番コスパがいいランチかもしれません。

肉のラインナップがすごい!

希少部位からモツまで幅広く対応

精肉店としての「肉のハヤシ」の実力も見逃せません。牛・豚・鶏の新鮮なお肉が揃い、しかも骨付き肉やモツ類まで幅広く対応。調理に合わせて中華包丁で好みのサイズに切り分けてくれるのもありがたいサービス。家庭ではなかなか扱えない豚足や豚耳などもここなら手に入ります。

国際色豊かなショーケース

常連さんには中国の方も多いため、中国語表記を取り入れたのだそうです。日本ではあまり馴染みのない珍しい味付け肉も有り、国際色豊かな大塚らしい景色になんだか心が温かくなります。

店主のもうひとつの顔、切り絵作家

娘さんの作品に刺激を受けて始めた切り絵

店内の壁に美しく並ぶ切り絵は、すべて店主の作品。きっかけは美術学校に通う娘さんの作品を見たこと。「自分にもできるかも」と始めてみたら、どんどん夢中になってしまったのだとか。今では作品が増えすぎて、店内の一角に小さなアトリエスペースまでできています。

入賞作品『観音菩薩』に込めた思い

中でも思い入れが深いのが「観音菩薩」。日本手工芸美術展覧会で入賞した傑作です。繊細かつ力強い表現に、ただただ見惚れてしまいます。肉屋のご主人がここまでのアートを生み出すなんて、ギャップに驚かされつつも、「人を喜ばせたい」という想いは肉も芸術も同じなのだと感じました。

地域を彩る薔薇と阿波おどり

薔薇ロードのはじまりは奥様の一言から

店主と奥様は、地域活動にも積極的に参加されています。とくに有名なのが「薔薇ロード」。始まりは奥様の「都電沿いにバラがあったら素敵ね」という一言。

そこから植え始め、やがて豊島区も協力してくれるようになり、今では大塚駅前から向原駅までの約1㎞に、500種もの薔薇が咲き誇る名所になりました。春と秋には見事な薔薇が彩り、大塚を訪れる人々を楽しませています。

阿波おどりで大塚を盛り上げる

さらに夏の風物詩「東京大塚阿波おどり」では実行委員長を務め、商店街会長としても地域のにぎわいに尽力。肉を売るだけでなく、街全体を盛り上げる存在として、多くの人に親しまれている「肉のハヤシ」。

揚げたて惣菜に感動し、ショーケースの多国籍感に驚き、切り絵に見惚れ、薔薇ロードや阿波おどりに胸を熱くする。肉のハヤシはただの精肉店を超えた大塚の宝箱のようなお店でした。大塚に来たら、ぜひ揚げたてのカツを片手に、この街の温かさを体感してみてください。

住所 豊島区南大塚3-55-1
営業時間 10:00~18:30
定休日 月・日・祝
決済方法 現金のみ
アクセス JR大塚駅 南口徒歩2分
駐車場 なし
電話番号 03-3971-0324
予約 電話にて可能