大塚の老舗パン屋さん、大松ベーカリー

大塚・大松ベーカリーのあたたかいパンと人柄の話
大塚の一角に、ふんわりと焼きあがるパンの香りに誘われてついつい足を止めてしまうお店があります。1951年創業、70年以上にわたってこの街の人たちに愛され続けてきた大松ベーカリー
。大松という名前の由来は創業者の大野さんと松尾さんの頭文字からきているそうです。
そして現在は3代目の西郷さんと梶原さんの2人で共同経営をしている。今回はお店の“顔”ともいえる西郷さんの奥様・弥生さんにお話を伺いました。
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パンが大好きで、バゲットのように芯のある人間でいたいと常に心掛けている。あんぱんのように中身ぎっしりの記事を心掛けてはいるが、まだまだ発酵中。 |
西郷さんと梶原さんは、20代の頃イタリアンレストランの同僚だった間柄。年月を経て再び出会い、パン職人の梶原さんと、パン屋を志していた西郷さんが共同でこのお店を継ぐことになりました。現在も昔ながらのレシピを守り続け、毎朝丁寧においしいパンを焼いています。
愛情パンパンの美味しいパン
十人十色の人気ぶり

店内には美味しそうなパンがずらりと並び、どれを選ぶかつい迷ってしまいます。せっかくなら人気のパンを食べてみたいと思い、スタッフの方に「おすすめはありますか?」と聞いてみたところ、返ってきたのは「これも、これも、これも…ぜんぶおすすめなんですよ〜
」という笑顔いっぱいの答え。
その言葉通り、どのパンも本当に美味しくて、「全部おすすめです」という返答に深く納得しました。ちなみに筆者のお気に入りは、ふんわりとしたパンに具材がぎゅっと詰まったサンドイッチ。何度でも食べたくなる、やさしい味でした。
子どもへの思いやりが詰まった「子どもパン」

創業当時から続くレシピの中でも、特に思い入れが深いのが大人気の「子どもパン
」。
「子どもパン」という名前の由来は、お腹を空かせた子どもが小銭を握りしめて買いに来たことがきっかけで生まれたそうです。ほのかに甘く、どこか懐かしい味。「安いうえに大きくてお腹が満たされる」愛情の詰まったパンです。
早朝3時から焼き上げる、日々のしあわせ
時間ごとに変わる風景

大松ベーカリーの営業は朝5時から。仕込みは早朝3時に始まり、窯の温度に合わせて焼くパンの種類が変わっていきます。低温ではあんぱんやメロンパン、高温になる頃にはまた違うパンも登場するなど、時間帯によって店頭に並ぶパンが違うのも魅力のひとつです。
早朝にはタクシーの運転手さんや夜勤明けの方がお店に訪れ、夕方には下校中の小学生たちに「バイバーイ」と手を振っていく。そんな何気ない日常のやり取りが、街とのつながりを自然と生んでいます。
不動の看板商品と日替わりブレッド

不動の人気を誇る、もちもち食感とほんのり甘い香りが特徴の「スペシャル食パン
」。独自の粉の配合と製法が美味しさの秘密です。外は軽やか、内側はしっとり。何このコントラスト。思わず「天才か?」って食パンに話しかけました。人気商品のため、予約するお客さんも多いんだとか。
他にも、各曜日限定で販売される日替わりブレッドも大人気。筆者も早速金曜日限定のクロワッサン
を無事に予約購入。つやっ、ふわっ、パリッ。こりゃもう、ただのパンじゃない。芸術作品です。
太陽のように明るい雰囲気をつくる“お店の顔”弥生さん

取材中に特に印象に残ったのは、接客担当の弥生さんの人柄。明るく気さくで、常連さんとの世間話や育児相談、下校中の子どもへのあいさつなど、まるでご近所の相談窓口のような存在で、弥生さんに会いたくなって訪れる人がたくさんいるのも納得できます。
「大塚の魅力は、人があたたかいところ
」と語る弥生さん。大松ベーカリーもまた、地域の温もりがぎゅっと詰まったお店です。これからの挑戦としては、イタリアンレストランで修行を積んだ、3代目の梶原さんが「大松ベーカリーならではのピザパンを作りたい」と意欲を見せているそう。イタリアンの経験を活かした新作にも期待が膨らみます。
パンの香りと、人のぬくもりがふんわり広がる大松ベーカリー。大塚という街の“ほっこり”が、そこにはありました。
住所 | 東京都豊島区東池袋2丁目1-7 |
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営業時間 | 【月~金曜日】5:00~18:00 |
定休日 | 土日 |
予約 | 店頭もしくは電話にて可 |
アクセス | JR大塚駅徒歩6分、都電荒川線向原駅徒歩1分 |
駐車場 | なし |
電話番号 | 03-3971-2429 |
公式サイト | 公式Instagram |