第51回東京大塚阿波おどり2025 ~猛暑を吹き飛ばす大塚の夏まつり~

大塚の夏の風物詩「東京大塚阿波おどり」。2025年で第51回を迎えたこの祭りは、灼熱の猛暑をも忘れさせる熱気と笑顔で街全体を包み込みました。人と人が寄り添い、伝統と地域の力がひとつになる瞬間。今回は、その魅力をたっぷりとお届けしたいと思います。

この記事を書いた人
編集部大嶺晋弥

【大嶺 晋弥】

阿波踊りの様に、楽しみながら前進し続けたいと思っているが、実際は三歩進んで二歩どころか四歩下がる日もある。

歴史が紡ぐ「大塚の阿波おどり」

大塚に根付いた文化

東京大塚阿波おどりは、1971年に南大塚商店街が立ち上げたお祭り。戦前のにぎわいを取り戻したい、そんな思いが今も脈々と受け継がれています。阿波踊りは、「連」と呼ばれる踊りのチームを組んで踊ります。

開始当初はわずか数連での開催でしたが、半世紀以上を経て参加する連も徐々に増え、今では例年およそ15万人が訪れる、地域の夏を代表する一大イベントに成長しました。

伝統と挑戦の融合

徳島発祥の正調阿波おどりを基盤にしつつも、大塚の連は独自の工夫を重ねています。新粋連をはじめとした15連、1000人以上の踊り手たちが披露する舞は、まさに伝統と未来が同居する瞬間です。

踊り手の年齢層も幅広く、幼い子どもからベテランまでが同じリズムに合わせて踊る姿には「世代を超えた文化の継承」を感じます。

前夜祭のあたたかな空気

地域の絆を感じるステージ

8月22日の前夜祭では、地元小学校の子どもたちによる力強い太鼓演奏や、地域団体の心温まるパフォーマンスが披露されました。会場は笑顔に包まれ、観客の心をやさしくほっこりと包み込みます。本番を心待ちにする子どもたちの胸は高鳴り、地域の人々が一体となって盛り上がる様子が広がっていました。

組踊りで迎えるフィナーレ

夜のとばりが降りる頃、駅前広場で繰り広げられた組踊り。各連の力強い舞が響き渡り、本祭への期待感を最高潮に高めました。観客の中には「明日も必ず来る!」と声を弾ませる人も。前夜祭は単なる前置きではなく、本祭へのエネルギーを蓄える大切な時間となっています。

本祭の熱狂と流し踊り

南大塚通りを埋め尽くす踊り手

8月23日の本祭。16時の開会セレモニーから一気に熱気は広がります。軽快な掛け声と鳴り物に合わせ、踊り手が南大塚通りを練り歩く流し踊り。通りを埋め尽くす姿はまさに圧巻でした。沿道からは大きな拍手や歓声が響き、踊り手と観客が互いにエネルギーを交換するような瞬間が続きます。

猛暑を超えるエネルギー

この日の最高気温は35℃以上。それでも踊り手たちは汗を光らせながらもハツラツとした笑顔で舞い続けました。「暑さよりも楽しさが勝ってしまう」という声も。

熱中症を心配しつつ見守る観客も、その元気さに思わず引き込まれてしまいます。まるで踊りのリズムそのものが街の暑さを吹き飛ばしているようでした。

大塚の街全体がひとつに

屋台と人波が生むお祭り空間

会場にはたくさんの屋台が並び、焼きそばやかき氷を頬張る子どもたちの姿も。ビール片手に踊りを眺める大人、家族で屋台を楽しむ親子連れ、人々の過ごし方もさまざまですが誰もが笑顔を浮かべています。踊りと同じくらい賑わう縁日は、家族連れにとって夏の大切な思い出になります。

全連一斉に舞う大迫力のフィナーレ

クライマックスの乱舞では、全ての連が一斉に踊りだす。リズムに合わせて自然と体が動き出し、気づけば皆が笑顔に。阿波おどりに参加していた子供たちも最初は緊張の面持ちでしたが、最後は晴れ晴れとした表情を浮かべていたのがとても印象的でした。

まさに「大塚の夏」が凝縮された瞬間であり、祭りの本当の魅力を感じる場面でした。

第51回東京大塚阿波おどりは、灼熱の猛暑の中でも街と人をつなぎ、心を熱くしてくれました。伝統を守りながらも未来へ続く祭り。来年もまた、大塚で笑顔の夏が待っています。