大塚鳥忠 焼き鳥と人情の名店の記憶
大塚の居酒屋を語るなら、外せない名前がありました。老舗大衆居酒屋 大塚鳥忠。駅から近くて、良心的な値段で、量も味も妥協しない。しかも、入った瞬間に実家に帰ってきたような不思議な安心感がある。
そんな老舗の名店が2025年12月30日に閉店。大塚の街を支えてきた灯りが、静かに消えました。だからこそ今、鳥忠の美味しい以上の魅力を、もう一度言葉にして残したくなったんです。
| この記事を書いた人 | |||||||
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大嶺晋弥 |
お酒よりも人情に酔うタイプ。 |
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鳥忠は入店と同時に元気になれる酒場
大塚駅北口から1分、昭和にタイムスリップ

JR大塚駅北口を出て、商店街を歩くとすぐ。看板が見えた瞬間、胸の奥がゆるむ距離感です。この立地の強さは、忙しい平日ほど沁みました。
店の前に立つと、そこだけ昭和にタイムスリップしたかのような古き良き大衆酒場の顔つきで、外観から既に安心感が溢れている。扉の向こうから聞こえる食器の音と賑やかな声が、もう呼んでるんですよ。
カウンターと座敷が近くて心の距離も縮む

鳥忠の良さは、席に座った瞬間から始まります。調理場が見えるカウンターでは、炭火の気配と串が焼ける匂いをつまみに一杯。畳の小上がりは、隣の席とほどよく譲り合う昭和の作法が残っていて、それが逆に心地いい。
二階には大人数が入れる宴会場があり、地域の宴会でよく盛り上がっていました。大塚民の憩いの場です。
鳥忠は安い 多い うまいのバランスが崩れない
焼き鳥はシンプルなのに火入れで勝つ

看板はやっぱり焼き鳥。もも、ねぎま、皮、つくね、定番が強い店って、結局いちばん通えるんですよね。炭火の香りがふわっと立って、噛むと鶏の旨みがちゃんと残る。
派手じゃないのに、毎回「やっぱこれだ~」と頷いてしまう安定感です。
刺身盛りも外せない 鳥だけじゃ終わらない満足

鳥忠は鶏料理中心なのに、刺身がちゃんと美味い。刺身盛り合わせは人気で、鮮度の良さが伝わる一皿です。迷ったらとりあえず焼き鳥と刺身盛り合わせを頼んでおけばハッピーになれます。
他にも肉豆腐やお茶漬けなどの居酒屋鉄板メニューが大体ある。どれもちゃんと美味しい。気づけばテーブルが賑やかになって、会話も弾む。そういう居酒屋の勝ち筋を、鳥忠はずっと外さなかったんだと思います。
鳥忠は料理だけでなく人情が名物になる店
常連の名前がメニューになるババ玉の粋

鳥忠を語るなら、ババ玉の話は外せません。常連のババさんが料理長のマーちゃんに頼んだオムレツが、そのままメニューになった。しかもババさん、常連歴は驚異の40年超えのレジェンド。
こういう逸話が自然に生まれるのは、店員さんとお客さんの距離が近い証拠。温かい空気が料理に染みこんでいる感じ、ひたすら最高です。そしてババ先輩、絶品メニュー考案ありがとうございます。
先代から引き継いだ二代目チームが店の空気を作った

鳥忠 大塚店は、長く親しまれてきた老舗で、親族経営として続いてきた背景があります。閉店のお知らせでも65年という長い歩みが語られていました。
大将、女将さん、娘さん、料理長マーちゃんが主力メンバー。娘さんが、同じメンバーで走り続ける濃さに疲れて三度家出した、なんて笑い話まで含めて、全部が人間くさい。
そして店に入るやいなや飛んでくる、あの「いらっしゃい」。元気な声って、こんなに人を救うんだなと本気で思わされます。
鳥忠は閉店の日まで街の居場所であり続けた
ランチの記憶は働く人の胃袋を支えた

以前は昼に通っていた人も多く、私もその一人です。ボリューム満点のランチで、午後の仕事に戻る前の心の休憩をもらっていました。食後に貰えるヤクルトも好きでした。
途中でランチ営業がなくなった年もありましたが、それでも夜の鳥忠は、変わらず街の明かりだった。気づけば昼も夜も足を運ぶほど、居心地のいい場所になっていました。もはや実家です。ただいま。
最終営業日は涙と笑いの同窓会みたいだった

閉店が近づくにつれて常連さんが「最後にもう一回!」と大集合して、店内はずーっと超満席。なのに店員さん達は最後まで明るく活気に満ちていた。
そして2025年12月30日、鳥忠は閉店。名残惜しくて目がうるっとするお客さんもいて、美味しさだけでなく人情味のある特別な場所として愛されていた。
暖簾は下りても心と胃袋はしっかり居座ったまま、大塚の人々の思い出フォルダに永久保存された。
| 正式名称 | 大塚 鳥忠 |
|---|---|
| 住所 | 東京都豊島区北大塚2-13-5 |
| アクセス | JR大塚駅北口徒歩2分 |
| 定休日 | 無し |
| 席数 | 1階小上がり座敷席、カウンター席 2階宴会席 |
| 駐車場 | なし(近隣コインパーキングあり) |
| 閉店日 | 2025年12月30日 |
| 公式情報 | 大塚 鳥忠Instagram |
大嶺晋弥